注記: 本記事に掲載しているスコア・温度・FPSはすべて実測値で、使用感も実際のプレイに基づいています。
この記事は、Ryzen 5 7600+RTX 4070 Superで組んだ開発・ローカルAI実験向けPCの構成紹介の続編です。前記事ではパーツ構成や購入価格を紹介しましたが、本記事では同じPCにWindows 11 Proを追加し、ゲーム用途でどの程度の性能を発揮するのかを実測します。特に、RTX 4070 SUPERがフルHD環境で過剰なのか、Ryzen 5 7600がゲーム性能のボトルネックになるのかを確認します。
目次
PCの背景とOSの使い分け
このPCはもともとUbuntu専用の開発・ローカルAI実験用として組みましたが、GeForce RTX 4070 SUPERを活かしてゲームにも使いたくなり、Windows 11 Proを追加してデュアルブート化しました。Proを選んだのは、標準のリモートデスクトップでホスト側になれる点が扱いやすかったためです。
| OS | 主な用途 |
|---|---|
| Ubuntu | 開発、ローカルAI、CUDA、技術検証 |
| Windows 11 Pro | ゲーム、Windows向けベンチマーク |
本記事の測定は、特記がない限りWindows 11 Pro上で実施しています。
結論
Ryzen 5 7600とRTX 4070 SUPERの組み合わせは、フルHD環境でPalworldを最高設定にしても、通常時はおおむね60 FPSでプレイできました。一方、負荷の高い場面では42 FPSまで低下しました。
主な検証結果は以下のとおりです。
- Palworld:最高設定で通常時約60 FPS、低下時42 FPS(1回のみの参考測定)。体感では時々軽いカクつきがあるものの、プレイには全く問題なし
- RTX 4070 SUPERはフルHDには過剰か:Palworldの実測ログでは、GPUコア使用率は最大68%にとどまり、CPU使用率が先に91.3%まで達していた。GPUには余力があり、CPUが先にボトルネックになっていたと考えられる
検証PCの構成
| 項目 | 構成 |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 5 7600 |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 4070 SUPER 12GB |
| OS | Ubuntu / Windows 11 Pro デュアルブート |
パーツ構成や購入価格などの詳細は、前記事の「Ryzen 5 7600+RTX 4070 Superの自作PC構成紹介」を参考にしてください。本記事では、Windows 11 Proで実施した性能確認に集中します。
検証方法
温度・使用率の記録にはHWiNFO64を使用しました。公式サイトから無料でダウンロードでき、インストーラー版とポータブル版(ZIP、インストール不要)が選べます。今回はポータブル版(hwi64_850)を使用しました。
再現性を高めるため、実際の測定では次のように条件をそろえました。
- 起動していたのはベンチマークソフト本体とHWiNFO64のみで、それ以外のアプリケーションはすべて終了しました
- 測定中にWindows Updateが走らないよう、測定前に更新状況を確認しました
- グラフィック設定は、各ベンチマーク・ゲームで測定前後に変更せず固定しました
- 各ベンチマークは1回のみ実施しました
- 高負荷テストの間には5分のインターバルを設け、PCを冷却しました
- 室温、CPU温度、GPU温度を記録しました
- PalworldのFPSは、Steamの標準FPS表示機能を使用して確認しました
測定環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 室温 | 25 ℃ |
| 温度計測ソフト | HWiNFO64(hwi64_850) |
| ベンチマークソフトの保存先 | Cドライブ(M.2 NVMe SSD) |
| V-Sync | オフ |
| FPS上限 | なし(無制限) |
解像度について
使用しているモニターのネイティブ解像度は1920 × 1080、リフレッシュレートは120Hzです。そのため、ゲームの主要な検証はすべてフルHDで実施します。
V-Syncはオフ、FPS上限もなしで測定しているため、理論上はモニターの120Hz近くまでフレームレートを出せる環境です。
合成ベンチマーク
Cinebench 2026
Cinebench 2026(バージョン2026.1.3)を使用し、Ryzen 5 7600のシングルコア性能とマルチコア性能、およびGPU性能を測定します。
| テスト | スコア | CPU最高温度 | GPU最高温度 |
|---|---|---|---|
| CPU Single Core | 574 pts | - | - |
| CPU Multi Core | 3043 pts | 86.1 ℃ | - |
| GPU | 77647 pts | 83.6 ℃ | 64.6 ℃ |
Cinebenchはレンダリング性能を測る合成ベンチマークであり、ゲーム性能を直接示すものではありません。
3DMark(Time Spy)
3DMarkは、国内外のPCレビューやゲーミングPC比較で広く使用されている定番ベンチマークです。本記事では、追加購入なしで利用できる無料版の標準実行を使用します。カスタム実行は有料版の機能であるため、設定変更は行わず、標準設定の結果を記録します。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 総合スコア | 16554 |
| Graphics Score | 19739 |
| CPU Score | 8648 |
| GPU最高温度 | 82.9 ℃ |
ゲーム性能
Palworld
Palworldは、ゲーム全体を比較するための正式な検証ではなく、実際のプレイ中にどの程度のフレームレートになるかを確認する参考測定として扱います。測定は1回のみです。
最高設定でプレイし、フィールド探索や戦闘を含む通常のプレイ中に、Steamの標準FPS表示機能でフレームレートを確認しました。表示上では、通常時はおおむね60 FPSで動作し、負荷が高い場面では42 FPSまで低下しました。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| グラフィック設定 | 最高 |
| 測定回数 | 1回 |
| 通常時のFPS | 約60 FPS |
| 確認できた最低FPS | 42 FPS |
| レイド | 未検証 |
画面キャプチャでも42 FPSと表示されており、HWiNFOのログ(pal.CSV)も保存しています。ただし、今回は固定ルート・同一条件で複数回測定した結果ではないため、平均FPSや1% Lowの厳密な比較値としてではなく、参考値として見てください。
体感としては、場面によってたまに軽いカクつきを感じることはありますが、プレイの快適さを損なうほどではなく、通常プレイには全く問題ないレベルです。

レイドはまだ試していません。敵やエフェクト、建築物などが集中するため、実際のレイドでは今回の最低値よりさらに低くなる可能性があります。
RTX 4070 SUPERはフルHDには過剰なのか
実測データから見えたこと
比較対象のGPUや複数タイトルでの検証はしていないため、「過剰かどうか」を一般論として断定することはできません。ただし、Palworld計測時に保存していたHWiNFOのログ(pal.CSV、約606秒分・1秒間隔)には、GPU使用率とCPU使用率の記録も残っていました。
| 項目 | 平均 | 最大 |
|---|---|---|
| GPUコア使用率 | 28.5% | 68.0% |
| CPU総使用率 | 28.7% | 91.3% |
GPUコア使用率は最大でも68%にとどまり、計測中を通じて余力を残していました。一方でCPU総使用率は91.3%まで達する場面があり、GPUより先にCPUが上限に近づいています。42 FPSまで落ち込んだ場面も、GPU性能の不足ではなくCPU側の負荷が主因だった可能性が高いと考えられます。
つまり、少なくともPalworldをこの設定でプレイする限り、RTX 4070 SUPERはボトルネックになっておらず、性能を持て余していたと言えます。ただし1回のプレイセッションのみの記録であり、他のタイトルやレイドのような高負荷場面では傾向が変わる可能性があります。
一般的な傾向(今回は未検証)
モニターのリフレッシュレートやプレイするゲームによっても、過剰になりやすいかどうかは変わってくるはずです。今回検証したPalworld以外については確認していませんが、傾向としては次のように考えられます。
過剰になりやすい条件:
- モニターが60Hz
- 軽量なゲームや古いゲームが中心
- レイトレーシングを使用しない
- GPUをゲームにしか使用しない
フルHDでも有効な条件:
- 120Hz、144Hz以上のモニターを使用する
- 最高画質やレイトレーシングを使用する
- フレーム生成を活用して高リフレッシュレート表示を狙う
- CUDA、Blender、ローカルAIにも使用する
なお、今回の検証環境自体が120Hzモニターであり、この条件には当てはまります。それでもPalworldでは実測FPSが60前後・低下時42までしか出ておらず、120Hzの表示能力を活かしきれていません。これも、GPU・モニターよりCPU側の負荷が先に上限へ達している、という見立てと整合します。
今回の構成に対する結論
実測データが示しているのは、Palworldを最高設定でプレイする限りGPUに余力があり、CPUが先にボトルネックになっていたという点です。モニターは120Hz対応ですが、実測FPSはその半分程度で頭打ちになっており、少なくともこのタイトルではGPUだけでなくモニターの性能も活かしきれていない可能性があります。レイトレーシングやCUDA・ローカルAIなど負荷の高い用途に使うほど、フルHD環境でも活用しやすい構成だと考えられます。
次のアップグレード候補
最優先で検討したいのは、WQHD対応モニターへの変更です。リフレッシュレートは現状の120Hzで既に確保できているため、次はフルHDからの解像度アップが優先度が高いと考えています。
RTX 4070 SUPERは、一般的なフルHD・60Hzモニターで表示できる範囲を超える性能を持っています。そのため、ゲーミング性能をより活かすという点では、モニターの解像度アップグレードが効果的だと考えています。
なお、PalworldのようにCPU側が先に上限へ達するタイトルでは、リフレッシュレートを上げてもフレームレートが伸びにくい可能性があります。一方で、WQHD化はGPUに残っている余力を描画解像度へ振り向ける形になるため、今回の実測結果とも整合するアップグレードだと考えています。
まとめ
検証結果の要点は以下のとおりです。
- Palworld:最高設定、通常時約60 FPS、低下時42 FPS。体感でも時々のカクつき以外は快適
- Cinebench 2026:CPU Multi Core 3043 pts、GPU 77647 pts
- 3DMark Time Spy:総合スコア16554
Palworldの実測ログでは、GPUコア使用率が最大68%に対しCPU総使用率は最大91.3%まで達しており、少なくともこのタイトルではGPUに余力があり、CPUが先にボトルネックになっていました。検証環境は120Hzモニターですが、実測FPSは60前後止まりで、そのリフレッシュレートも活かしきれていません。軽量なゲームや60Hzモニター中心の使い方ならなおさら過剰になりやすいと考えられますが、レイトレーシング、ローカルAI、CUDA、Blenderなどにも使用する場合は、フルHD環境でも無駄な構成とは言い切れません。
次に優先したいアップグレードは、WQHD対応モニターです。リフレッシュレートは現状の120Hzで足りているため、次は解像度アップを優先したいと考えています。